介護保険報酬改定2024年対策セミナー 講演録【グループホーム版】

2024年6月4日配信

カテゴリ:
介護

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報酬改定の概要

報酬は全体で1.59%増となります。1.59%の報酬増は、介護職員の処遇改善分0.98%を含む実質0.61%の増です。医療報酬改定は6月1日から、介護の報酬改定は4月1日から施行となります。グループホームの基本報酬は介護度別に1単位増で、1日10円、月300円程度の増です。

グループホームの医療連携強化

今回の令和6年の改定では、グループホームの医療連携強化の重要性が増しています。医療連携体系の見直しや加算項目の更新が必要で、施設での対応を決定することが求められます。感染症対策やBCP未策定に基づく減算、新設加算項目の存在も注目されています。認知症ケアの新加算もあり、これらについて解説します。

特に、医療連携体制加算の見直しはグループホームにとって重要です。体制評価と受け入れ評価の基準を再確認してください。また、看護師の配置や訪問看護ステーションとの連携が評価されます。定期的な会議の実施や認知症対応型共同生活介護の連携も加算の対象です。協力医療機関連携加算については、特定の要件を満たすと月100単位、満たさない場合は40単位の加算があります。また医療機関への情報提供について、入院や長期入院時の対応が重要です。特にグループホームの利用者が入院した際の情報共有が必要です。

感染症対策とBCP未策定による影響

また、感染症対策向上加算が新設され、施設は感染症対策の研修や訓練への参加を通じて加算を受けられます。業務継続計画(BCP)未策定の事業所は減算対象になります。施設経営や居住系サービスでは3%、その他サービスでは1%の減算があります。高齢者虐待防止では、基本報酬から1%減算される場合があり、委員会設置や研修実施が必要です。

認知症ケアの新加算

認知症ケアでは、グループホームも含まれ、新設加算があります。また、リハビリテーションや栄養管理の取り組みも重要です。家族的介護推進体制加算の見直し、データ提出頻度の変更、リハビリテーション計画書の整理が行われます。科学的介護推進体制加算では、提出頻度が3ヶ月に1回になります。LIFEを活用したPDCAサイクルの重要性が強調され、国も活用を推奨しています。

働きやすい職場づくりと人材確保

また、働きやすい職場づくりと人材確保が重要視されています。外国人介護人材の管理と業務範囲の明確化について説明します。介護職員の処遇改善加算は、既存の3種が統合され、新たに1から4までの区分が設けられました。加算率はグループホームで最大18.6%から12.5%です。新加算では、賃金改善に半分以上を充てることが条件です。また、生産性向上と働きやすい環境作りが重視され、安全とサービスの質の確保に向けた委員会設置が義務付けられています。

介護ロボットやICTの利用

介護ロボットやICTの利用は、介護の効率化に不可欠です。これには、補助金を使った見守りセンサーやモニタリング機器の導入が含まれます。新設された生産性向上推進体制加算には、テクノロジー複数導入が条件の「1の加算」と、1つ以上導入で可能な「2の加算」があります。1の加算は月100単位、2の加算は月10単位です。1の加算では、見守り機器の導入効果を年1回報告する必要があります。2の加算はより多くの事業者が対象ですが、1の加算を目指すことが望ましいです。加算対象には、ICT機器や介護記録ソフトウェア、コミュニケーションツールが含まれます。

グループホームの夜間支援体制加算の見直し

また、グループホームの夜間支援体制加算も見直され、夜勤職員の配置が新たな要件となりました。人員配置では、職員の両立支援が考慮され、週30時間勤務でも常勤とみなされます。詳細はガイドラインを参照してください。外国人介護職員の配置基準も見直されており、雇用時の日本語能力や研修状況が重要です。また、管理者の責務と兼務範囲の明確化が重要です。これは人員配置基準に関連し、全サービスに影響します。管理者の勤務範囲は、敷地内外の事業所に関わらず緩和される可能性があります。介護職員の採用・配置の厳しさは管理者にも同じです。

また、ローカルルールは自治体によって異なり、厚生労働省の基準内で地域の実情に合わせるべきです。他業態の情報をピックアップすると、訪問介護は新減算が適用され、ショートステイは61日以降の加算が設定されます。居宅介護は単位数の95%に変更、夜間通所介護に新区分が設けられます。通所リハビリは機能評価の加算が新設されます。選択的サービス複数実施加算が廃止され、一体的サービス提供加算に移行しました。書面提示規制の見直しと地域区分の見直しについて説明します。事業者は運営規定をウェブサイトに掲載し公表する必要があります。地域区分の公平性に特例を設け、変更がある部分は赤字で記載されています。

以上がグループホームに関わる全てのトピックと、他業態でも知っておいた方がいい要素です。

経営面の対策

続いて経営面の対策についてお話しします。改定後にどのような戦略を取るかが重要です。グループホームの施設数について令和3年では1万4000施設があり、いまだ増え続けています。

経営実態調査から令和4年度のデータを見ると介護料収入は月467万円、介護保険外収入は160万円です。これが売上の大部分を占めます。令和4年度は介護保険収入が30万円増ですが、利用料は変わらず、給与費は若干増加しています。

続いて収入と支出、資産の概要を示します。収入は月平均633万円、支出は610万円です。月22万円の利益、利益率3.5%です。利益率は年々1%減少しています。収入は増えていますが、コスト増で利益が圧迫されています。定員数は平均15.8名、月間利用者数421名、職員数は11.4名です。グループホームの終止率は、平均3%が黒字です。赤字事業所の割合は、令和4年度で増加しています。これはコスト増によるものと考えられます。単価の低さや客数不足、入院による売上ショートも影響しているでしょう。

グループホームの入居率は約87%から90%で、1室あたりの単価は約40万円/月です。月売り上げは630万円、支出は610万円で利益率は3.5%です。利益率の平均で言えば特定施設より高いですが、利益額は20万円と少ないです。グループホーム経営の課題は、スケールメリットの小ささにより、赤字収支になりやすいことです。利用者の入院や退居が続くと、売り上げが減少し、赤字になります。ここに対策が必要です。まず低入居率は赤字の大きな原因です。18床全てが埋まらないと、赤字になります。また、空きが出ても待機者がいないとすぐには埋まらないことが問題です。職員を中々採用できず、人材紹介会社を利用することコストが1人あたり80万円~100万円かかってしまうなどの問題もあります。

これらの問題を解決するため、集客と採用方法の改善が必要です。集客には複数の方法があり、訪問営業や入居紹介会社の活用が有効です。ポータルサイトへの掲載も一つの手段ですが、グループホームの掲載は少ないです。即効性が期待できるのは病院のソーシャルワーカーへの訪問です。認知症専門のグループホームで、不穏状態や困難なケースも受け入れ可能であること、有料老人ホームより比較的安価で、あることなどを伝えることが集客につながります。また、受け入れ事例紹介シートなどのツールを使い、BPSDに対応した改善例を紹介することが効果的です。

また「満床になったら営業活動を止める」ことがリスクになる業態ですので空きが無くても広報活動という形式で情報発信をし続ける事が重要です。少ない空床でもすぐに赤字になるリスクを管理者に伝える必要があります。また、地域に認知症ケアのノウハウを発信し、ファンを作ることが大切です。例えば、認知症カフェや勉強会を開催することが有効です。紹介実績のあるケアマネージャーにチラシを配り、イベントを告知し、口コミで情報を広める方法があります。
また、人材不足対策として採用の前段で必要なのが定着率を高めることです。介護業界の平均離職率は14%です。これを超える場合、離職防止策が必要です。退職者の在籍期間分析から対策を考え、新人教育やルールの浸透、業務の統一が課題かもしれません。また、人事制度やキャリアパスの問題もあります。採用力向上には、給与や待遇の調査、効果的なお仕事説明会の開催が重要です。ハローワークや説明会を組み合わせて10万円/名以下での採用を目指します。詳しくは、個別相談にてご説明させていただきます。

まとめ

結論として、グループホームは満床にしやすいが、維持するのが難しい。ファンづくりを促進するためには、地域の支持を獲得することが大切です。認知症対応の評判は、地域での情報発信とウェブの組み合わせが鍵です。

今回お届けした情報が皆様の経営に役立つことを願っています。お読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いたコンサルタント

鈴木康祐

従業員数1500名規模の医療法人に新卒入社し介護部門に従事。法人史上最年少の23歳で有料老人ホームの施設長を 務める。不振施設の立て直しを得意としてマネジメント業務に携わる。離職率50%超えの施設を1年で離職率5%まで改善させる。120床規模の新規施設の入居率を半年間で100%にする等の実績が評価され、介護部門のエリアマネージャーに就任。 船井総研入社後は、介護業界に特化し【マーケティング:集客、営業・人財採用】【マネジメント:管理者育成・研修・ 人事制度・教育体制構築】など幅広いテーマで組織活性化のコンサルティングを実践。業界経験があるからこそ現場の事を理解し、 巻き込みながら 動かしていくスタイルが多くの経営者から支持を得ている。

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